廃墟は生き続ける

2009/03
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吉川晃司の大学の卒業設計。
磯崎新のつくばセンタービル廃墟図をモチーフに制作を行なった。

「廃墟は生き続ける」テキスト

磯崎新の描いたつくばセンタービル廃墟図を元にした作品。廃墟図は一元的な権力のもと設計された町・建築(=つくば市)は崩壊の一途を辿る。という彼の建築家としてのレトリック(半ば冗談?)をコンセプトに制作された銅版画だ。彼の言う一元的な権力とは一体なんなのだろう? 町はその権力によって設計され、作られ、変化し、消費され、廃墟になるのだろうか?

そんな疑問から廃墟生成システムの設計を考えた。現状のつくばセンタービルの様子から人々がそれを徐々に増築させ、ある箇所は耐用年数の限界によって崩壊し始める。コンサートホールとなっていた建物はスーパーマーケット、あるいは避難所として使われ、真ん中の広場の場所にはここに住む者たちのバラック住居が作られていく。

それらの形に対する型(メタデータ)としての「物語」は4×4の16コマで構成されたマンガによってランダムに生成されていく。現状から廃墟図までの16コマをまるで壁のない部屋同士をさまようことによって「物語」が生まれていく。

この設計のタイトル「廃墟は生き続ける」の主体。人が廃墟の中で生きているのではない。多木浩二「生きられた家」の中で言われていることの一つ生きられた家は設計は建築家には難しいということだ。「生きられた」を「生き続ける」と言い換えてみる。ここで主体の反転が起きる。人によって「生きられた」家/町ではなく自らが「生き続ける」家/町は設計できるのか、ということだ。「生きる」主体を例えば「廃墟」に託してみてはどうだろうか、という提案がこの卒業設計のおおまかな主旨である。

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